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会社に解雇を言い渡された時の対応方法

この記事で分かること
  • 会社が社員を解雇できるのはどんなとき?
  • 辞めてほしいと言われたらどうすればいい?
  • 不当に解雇されそうな時にどうすればいい?

2019年平均の有効求人倍率が1.60倍と好調だった雇用情勢も、新型コロナウイルスの影響を受け一変しました。

経営状態が悪化した企業による解雇や雇止めなどの事例は増加傾向を見せており、厚生労働省が2021年の7月9日に公表した集計結果によると、新型コロナウイルス感染症の影響による解雇・雇い止め(見込みを含む)の人数が、累計で11万人を超えたそうです。

外部リンク 新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について

このような状況で、いくら会社の業績不振を理由とした解雇や雇止めでも、企業側は一定の条件をクリアする必要があります。

この記事は、会社に解雇を言い渡された時の対応方法について解説していきます。

会社が社員を解雇できるのはどんなとき?

会社は安易に社員を解雇できないようになっています。会社が仮に社員を解雇する場合、色々な条件をクリアする必要があります。

そんな条件について見ていきましょう。

社員の解雇が認められる条件とは?

解雇を言い渡された場合、まずは会社の言い分が正当なものであるかどうかをチェックしましょう。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と、労働基準法で決められています。

以下の文章は、厚生労働省のホームページにある労働契約の終了に関するルールからの抜粋です。

使用者からの申し出による一方的な労働契約の終了を解雇といいますが、解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできません(労働契約法第16条)。

解雇するには、社会の常識に照らして納得できる理由が必要です。

例えば、解雇の理由として、勤務態度に問題がある、業務命令や職務規律に違反するなど労働者側に落ち度がある場合が考えられますが、1回の失敗ですぐに解雇が認められるということはなく、労働者の落ち度の程度や行為の内容、それによって会社が被った損害の重大性、労働者が悪意や故意でやったのか、やむを得ない事情があるかなど、さまざまな事情が考慮されて、解雇が正当かどうか、最終的には裁判所において判断されます。

また、一定の場合については法律で解雇が禁止されています。

引用元:労働契約の終了に関するルール より

また、会社には就業規則に「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記することが義務づけられています。

なので、解雇を言い渡されたら、まずは自分の会社の就業規則をチェックして、納得がいかない場合には、会社に「解曜の理由の証明書」を請求し、解雇理由をハッキリ聞きだすことが大切です。

ですが、業績の悪い企業が経営合理化のために、大量の社員をまとめて解雇する場合、雇う側の権利として認められています。この業績不振を理由に整理解雇を行うためには、次の4つの要件を満たしている必要があります。

  • 経営上、どうしても人員削減が必要(事業の縮小・撤退などのため)
  • 解雇を避けるための努力をした(新卒採用の見送り、出向や配置転換など)
  • 解雇の対象者の選定が合理的かつ客観的と認められる
  • 社員や労働組合と十分に協議した

このように、人員削減がどうしても必要で、なおかつ社員側からもある程度の納得が得られていなければ、会社はやたらに整理解雇はできないことを知っておきましょう。

解雇は30日前までに予告する必要がある

通常、会社が社員を解雇する場合30日前までに「あなたを解雇します」という解雇予告を行うか、もしくは平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払わねばならない、と労働基準法で定められています。

この為、「もう明日から出社しなくていい」といった無茶な言い分には何の効力もないので、従う必要はありません。拒否をするか、しっかり解雇予告手当を請求しましょう。

ですが、社員が会社で行った不正または不当な行為に対しての「懲戒解雇」では、予告なしの解雇が認められることがあります。

この場合、懲戒解雇に該当するケースは就業規則に明記されており、それ以外のケースでは懲戒解雇は社会的なダメージが大きい為、懲戒解雇にはならず、簡単には適用できないようになっています。

認められない解雇のケース

解雇は30日前までに予告することが労働基準法で定められていますが、以下のような理由の場合、解雇することは労働基準法・雇用機会均等法の違反になります。

  • 業務上の傷病により休業期間、およびその後30日間
  • 産前産後の休業期間、およびその後30日間
  • 女性であること。あるいは結婚、妊娠、出産したこと

このような理由での解雇は違反なので、はっきりと違反であることを伝えましょう。

リストラを勧告されたら、就業規則をチェックしよう

就業規則は、労働者の給与規定や労働時間といった労働条件、労働者が遵守すべき職場内の規律やルールなどをまとめた規則のことですが、時として社員の強い味方になります。

就業規則は労働者を守る

会社が危なくなってきた時や、リストラを勧告された時に確認したいのが「就業規則」です。

就業規則とは、賃金や労働時間、休日・休暇、退職に関することなど入社から退社までの勤務条件や服務規定を細かく定めた決まりで、会社と社員の間にある雇用契約の内容が、ここにまとめられています。

就業規則は、10人以上の労働者がいる会社では、必ず就業規則を作成して労働基準監督署に提出することになっていおり、通常入社時に提示されますが、その存在を知らない場合、会社の人事部などに確認しておきましょう。

というのも、就業規則はいざという時に社員の力強い味方になってくれます。

この就業規則で決められている賃金の決定や計算方法、支払い時期などと「会社の言い分」に反する点があった場合、会社の通達は無効になり、就業規則に反している場合は会社に訴えることができます。

また、業規則の規定を知らずに会社の条件をのんでしまった場合でも、就業規則に違反している事柄がわかれば、あとから正規の賃金を請求したり、以下を撤回することも可能です。

労働基準法では「就業規則で定めた労働条件に違反する合意は無効」と決められています。

労働に関する法律をチェック

労働に関する法律もチェックしておきましょう。雇用や解雇に関する事は役立つ上、知らないと大きな損をしてしまう場合もあります。

労働基準法は「労働条件の最低基準を定めて、労働条件の向上を図るための法律」で、賃金・就労時間などの労働条件に関することから、労災による補償など、細かく規定しています。

現在の就労環境に疑問を感じている人は、自分から退職届を出す前に会社の労働条件が法律違反でないかをまず確認しておきましょう。

「辞めてほしい……」と言われたら

社員が会社を辞める場合、「自己都合」か「会社都合」のどちらかに分類されます。辞める気があってもなくても、「自己都合」で辞めてしまった場合損することもあるので注意が必要です。

安易に退職願を書かないようにする

会社がもしも、社員を辞めさせたいと考えた場合直属の上司などが退職を勧めてくることがあります。

社員が会社を辞める理由は、どのような場合でも次のように「自己都合」か「会社都合」かのどちらかに分類されます。

  • 自己都合退職 …「他の仕事をしたい」「給料が安い」「人間関係に疲れた」など、理由は何であれ自分の意志で退職を決めた場合、また重大な過失を犯して解雇された場合による退職。これ以外の理由でも、退職願に「一身上の都合により退職します」と書いてしまうと、自己都合とみなされる。
  • 会社都合退職 … リストラによる解雇や倒産、定年など、会社の都合で退職させられる場合。要は、自分の意志で会社を辞めるのが「自己都合退職」で、自分の意志に反して不本意に会社を辞めさせられるのが「会社都合退職」です。

上記のように、退職を勧めてきた場合、安易に承諾したり、退職願を書いてはいけません。たとえ退職しようと思っている場合でも、自分から退職願を出してしまうと「自己都合退職」になってしまいます。

「自己都合」と「会社都合」の違いは大きい

会社都合の退職にした方が社員にとってメリットがあり、会社との交渉の余地が残ります。

会社部合の場合、社員としては不本意に辞めさせられる為「退職金を上積みしてほしい」などのことも訴えることができます。ですが「自己都合退職」の場合、交渉の余地はなく「自己都合」か「会社都合」かで、失業給付金の支給開始時期や所定給付日数が違ってくる場合があります。

このように、会社側から退職をせまられてもすぐに応じず、より有利な条件で辞める努力をするのが大切です。

不当解雇に該当する場合の相談窓口

就業規則などを確認し、退職を求める正当な理由がなかった場合、労働基準監督署や都道府県の相談窓口へ行き、相談しましょう。

「解雇」を言い渡されたときの3つの確認事項

会社は、むやみやたらに社員をクビにできないことはここまでの話ですが、会社から解雇を言い渡された場合の確認事項は3つです。

  • 会社が退職を求める正当な理由があるか?
  • 30日以前に「解雇予告」があったか、または「解雇予告手当」を支払う手続きがなされたか?
  • 退職の理由を「会社部合」として、退職金の支救いの条件などがきちんと整っているか?

会社が社員を解雇する場合、以上のことは守らなければなりませんが、正当な理由がないのに無理に退職に追い込んだり、解雇したにもかかわらず「自己都合退職」として然るべき処遇をとらない、などの悪質なケースがあるのも事実です。

この場合、行政機関に相談しましょう。

行政の力を借りる

会社とトラブルが起きたり、会社に不当に解雇されたりした場合には、行政機関に相談するという方法があります。

この場合、まず「会社が労働基準法に違反している」「会社側の意向や就業規則は確したが、自分のケースが不当解雇にあたるのかわからない」といった場合に相談できるのが、地域の労働基準監督署(労基署)です。

労基署は、法律で定められた労働基準がきちんと守られているかどうかを監視する行政機関で、明らかな法律違反があれば、事実関係を確認したうえで会社に30日以上の解雇予告手当を支払うよう指導します。

ですが、労基署は「法律に則った手続きを踏んでいるか」を監督する機関なので、「リストラにあっているので何とかしてほしい」などの相談には応じないので注意が必要です。

労働相談窓口を利用する

企業と人のトラブルの相談先としては、まず各都道府県の行政機関が設けている労働相談窓口があり、中には、会社と個人の間に入って仲裁役を担ってくれる窓口もあります。

行政が介人することで会社側の態度がまったく違ってくることは多く、相談に応じる部署や程度は各都道府県ごとに異なるので、まずは都道府県庁などに問い合わせてみましょう。

外部リンク 厚生労働省:相談機関のご紹介

そして、もしも個人で問題が解決できない場合、個人加盟の労働組合に入るという方法があり、組合員が会社と団体交渉をしてくれたり、弁護士に依頼して裁判に持ち込むという方法があります。

この場合も、会社の不当解雇をはっきりと証明する必要があるので、会社側とのやりとりはなるべく文書で行うようにし、話し合いの経緯なども逐一メモして残しておきましょう。また、証拠になるような書類は手元に必ず保管しておきましょう。

最後に

いずれにせよ、会社と闘うのは体力も精神力も使います。そのエネルギーを使って争う価値のある相手なのか、自分はどのような状況にあるのかなど、冷静に考えて自分にとってベストな対応策を考えましょう。

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そして困ったときには、各種行政機関や弁護士の力を頼りましょう。決して泣き寝入りせず、強い意志を持って無理のないよう進めていきましょう。