- 倒産したらどうなる?
- 倒産したら未払いの賃金や退職金は請求できる?
- 倒産の前兆を見極めるには?
2021年7月19日現在、帝国データバンクの調査によれば、新型コロナウィルスの影響を受けた倒産数は累計で全国に1774件確認されています。
外部リンク 「新型コロナウイルス関連倒産」動向調査<7月19日(月)16時現在判明分>
このように、ある日突然訪れるのが会社の倒産で、すでに会社が潰れて途方にくれている方や、「うちの会社も危ないかも…」と思っている人は、そうなる前に会社が倒産した場合の処遇や対応方法についてチェックしておきましょう。
目次
倒産では会社が消滅する場合と再建される場合がある
会社が倒産するといっても、倒産後の処理方法によってその後の会社の在り方は大きく変わります。
処理方法は、大きく分けて以下の2つに分類されます。
- 清算型 … 資産をすべて処分して会社を消滅させてしまう方法
- 再建型 … 会社にお金を貸している人や、会社などの債権者や裁判所の監視の下で、事業を継続しながら会社を再建する方法
直近での清算型の破産では、2020年の10月に破産してしまったレナウンがこれにあたり、再建型で有名なところでは2000年7月に経営破綻した株式会社そごう・西武です。
現在はセブン&アイ・ホールディングス傘下の株式会社そごう・西武が経営を引き継いでおり、一部の店舗が残っているのたはこの為です。
社員はどうなる?
倒産した場合、社員も前述のパターンによって処遇が異なります。
清算型の場合、倒産と同時に社員は全員解雇されてしまいます。一方後者の再建型の場合は、倒産後も会社の営業は継続されるので、社員はそのまま仕事を続けられる違いがあります。
倒産したら未払いの賃金や退職金は請求は可能?
会社が倒産した場合、未払い賃金の一部を、国が立て替えてくれる制度があります。
未払いの賃金を立て替えてくれる制度
会社が倒産した場合、もっとも気になる「未払い分の給料は払ってもらえるのか?」、「退職金はどうなるのか?」についてですが、法律上は「従業員の未払い賃金は、取引先など他の債権者への支払いよりなどの借金よりも優先して支払われる」とされています。
未払い賃金とは、給与明細などで確認できる通常の給与と退職金のことを指しますが、会社にお金が全然残っていない場合支払いは不可能で、たとえお金があっても債権者などに差し押さえられてしまう場合も多くあります。
ですが、倒産後に給料や退職金をあきらめてしまうことはなく、国の労働福祉事業の一環として、倒産した会社の社員に未払い賃金の一部を立て替え払いしてくれる「未払賃金立替払制度」という制度があります。
未払賃金立替払制度とは?
未払賃金立替払制度は、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。
全国の労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康安全機構で制度を実施しています。
ざっくり言うと、1年以上事業が継続していた会社が倒産した場合、独立行政法人労働者健康安全機構という公的機関が、過去6か月以内の未払い賃金の約8割を会社に代わって支払ってくれます。
立て替え払いの申請を決めたら、まずはこの制度を管轄している労働基準監督署に行って相談してみましょう。
未払賃金立替払を受けるには
立て替え払いを受ける場合、倒産の事実や会社に賃金支払い能力がないことを、労働基準監督署長か破産管財人に認定してもらう必要があります。
その上で、同機構に申請する流れになりますが、申請の期限は倒産から2年以内です。
このときに大事なことは、「会社に賃金支払い能力がなく、未払い賃金がある」という状況を証明できる以下のような書類をより多く用意することです。
- 就業規則
- 雇用契約書
- 源泉徴収票
- タイムカード
- 離職票
- 給与明細書
また、もし会社が「中小企業退職金共済(中退共)事業本部」に加盟していれば、中退共制度により会社に代わって退職金を支払ってもらうことができます。
中退共制度は、加盟企業の掛け金と国の援助で運営されている退職金支払いのための制度で、事業主が毎月きちんと掛け金を支払ってさえいれば、会社が倒産しても中退共から退職金が支払われます。
ですが、加盟していても掛け金を払っていないということもありうるので注意が必要です。
倒産の前兆を見極めるには?
会社の倒産には、前述のように「清算型」と「再建型」がありますが、どちらににせよ、苦労するはめにはなってしまいます。
会社が倒産したとしても再建型での倒産の場合、社員がすぐに解雇されるわけではありませんが、再建型の倒産は全体ではごくわずかで、再建の過程で大幅なリストラが行われるのは確実です。
なので、最悪の経営状態のなかで退職するなら、倒産の前に会社の希望退職制度に応募するなどして、退職金の上積みなど、有利な条件を引き出したほうが絶対に得です。
その為には、会社が倒産しそうか見極める必要があります。
ボーナスカットや給料の遅配はわかりやすいサインですが、そこまでいく前に会社の「お金の流れ」に関わることに注目しておくと良いと思います。
利益があがっていても、銀行などからお金を借りられず、当座の事業資金が足りなくなれば会社は倒産します。その為、取引銀行を替える・取引先への支払い方法を変更するといったことがあれば注意が必要です。
最後に
会社が倒産しそうだと聞けば、未払の給料や残業代が支払われる心配になるのは当然のことだと思います。
最後にこの記事のまとめになりますが、
- 会社が利用して払われるはずの給料が払われなかった場合には、労働者健康福祉機構の「未払慣金立替払格」を利用できないか確認してみましょう。
- 会社が「中退共」加盟している場合、会社が倒産してもそこから退職金は支払われる。
と、倒産してしまった場合は所定の手続きをすることで、傷口を最小限にとどめることができるので、是非これらの制度を活用しましょう。